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心が成熟するまで、何度でも同じ恋を繰り返す

人を好きになる。
誰かと一緒に生きていきたいと願う。
けれど、なぜうまくいかないのか分からない。
なぜこんなに苦しくなるのか、何がいけないのか、自分でも分からない。
私は、その答えに気づくまでに、とても長い時間がかかりました。
そして、セラピストとして多くの人の人生に寄り添ってきて分かったのです。
その原因は、「赤ちゃんごころ」にありました。
 

 「赤ちゃん同士の恋愛」が、うまくいくはずがない

世の中には、体は大人でも
心はまだ「赤ちゃん」のままの人が、たくさんいます。
自分の中に、こういう感覚はありませんか?

  • こんなに頑張っているのに、誰もわかってくれない
  • もっと愛してほしい、気づいてほしい
  • 大切にされたい、優しくされたい
  • 自分ばかりが損をしている気がする
  • なんでこんなにうまくいかないの?

これらはすべて、“赤ちゃんモードの感情”です。
私たちは、無意識に「親役割をしてくれる人」を恋人や夫婦関係に求めてしまいます。
その結果、「くれない、わかってくれない」という不満が積もり、
傷つけ合い、また別れ、次の人へ……と、同じパターンを繰り返すのです。
  

なぜ、心は大人になれないのか?

そのルーツは、胎児期・赤ちゃん期にあります。
私たちは、生まれる前から
「お母さんは私のすべて」だと信じていました。
守ってくれる、気づいてくれる、欲しいものをくれる。
その幻想が「心のベース」になってしまうと——
社会に出ても
パートナーを求めるときも
起業しても、子育てしても
「お母さんみたいな存在」が欲しくなってしまうのです。
そして、思い通りにならないと怒る、悲しむ、すねる。
これが、“内なる赤ちゃん”が恋愛や人生を操っている状態です。
  

「極悪チャイルド」になる前に

そして赤ちゃんのまま大人になると、さらに問題が深まります。
思い込みが強くなり、人の話を聞けなくなり、
「こんなにやったのに!」と見返りを求めて怒りを爆発させる。
これが「極悪チャイルド」。
周りを振り回しながら、自分の正しさにしがみついてしまう。
それはもう、本人にとっても苦しい状態です。
  

成熟した恋愛へ——心の再教育が必要

では、どうすれば「大人の恋愛」に進めるのでしょうか?
答えはシンプルです。
“内なる赤ちゃんごころ”を、癒して、育てていくこと。

  • 怒りや不安の根っこを知ること
  • 「もらう愛」ではなく、「与える愛」にシフトすること
  • 「見て見て」から「ありがとう」へ、心のベクトルを変えること

チャイルドセラピーでは、まさにこのプロセスを大切にしています。
心の赤ちゃんに、やさしく教えてあげるのです。

「お母さんは、あなたのものじゃないの」
「この世界は、お世話してくれる場所じゃないよ」
「でも、あなたには自分で立てる力がある」
「与えられる存在になれるんだよ」

そう語りかけ、導いていくことで、
恋愛も結婚も、仕事も人間関係も、すべてが変わりはじめます。
  

本物の愛は、「共に育つ」もの

真のパートナーシップとは、
「親子ごっこ」を卒業した大人同士が、分かち合っていく関係です。

依存でも犠牲でもない。
怒りや不足をぶつける関係でもない。
自分の「おり」まで見せられる人。

「おり」とは?
ワインや日本酒の瓶の底に、沈んでいるものがあります。
それが「澱(おり)」。これは、時間をかけて熟成されてきた中で自然にできた“にごり”のようなもの。

多くの人はそれを「濁っている」「見せたくないもの」として避けようとしますが、実はこの“おり”にこそ、その人の深み・味わい・人生の物語が詰まっているのです。

恋愛や人間関係でいうなら、それは——

  • 傷ついた過去
  • 言えなかった本音
  • 拗らせた癖
  • コンプレックス
  • 見捨てられたように感じた夜

そんな部分こそが「おり」。

それを隠すのではなく、
「そこまで見せられる関係性」こそが、本当の愛だと私は思います。

その深みごと受け取り、共に育っていける人。
そんな相手と出会える準備が、心を成熟させるプロセスにはあるのです。

あなたは、もう気づいているはずです。
このまま、赤ちゃんのままで生きていくのか。
それとも、自分の内なる赤ちゃんを抱きしめ、
「本当の大人」として、恋も人生も育てていくのか。

その選択が、これからの人生を大きく変えていくのです。

   
心理アーティスト|感情教育セラピスト 西谷 真美
http://blue-winds.com

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