記事の詳細
嫉妬のトリセツ~構造がわかったら、心が軽くなった

嫉妬って、厄介ですよね。
感じたくないのに感じてしまう。止めたいのに止められない。
でも、もしその嫉妬に「構造」があるとしたら?
仕組みがわかれば、振り回されなくなるとしたら?
今日は、嫉妬を追いかけて思いがけない発見をした、ある生徒さんのストーリです。
■ やめたいのに、やめられない
こんな相談を受けました。
「先生、私、どうしても元同僚に嫉妬してしまうんです。自分でもみっともないってわかってるのに、やめられなくて……」
彼女は40代。長年、ある分野で一緒に仕事をしてきた仲間たちが、今は別々の道を歩んでいます。それぞれが活躍している姿を見るたびに、胸がざわつく。喜んであげたいのに、素直に喜べない。そんな自分が嫌でたまらない、と。
「嫉妬って、本当に厄介な感情ですよね」
私はそう言いながら、彼女に提案しました。
「その嫉妬、もう少し深めてみませんか? 嫉妬を『悪いもの』として追い出そうとするんじゃなくて、『あなたは何を教えに来たの?』って聞いてみるんです」
彼女は最初、戸惑っていました。嫉妬なんて、早く消えてほしいだけ。向き合うなんて気が重い。でも、思い切ってノートを開き、頭に浮かぶことをひたすら書き出してみることにしました。
■ ノートに溢れ出した言葉
数日後、彼女が持ってきたノートには、こんな言葉が並んでいました。
「私は自分を削って生きてきた」
「困ったとき、誰も助けてくれなかった」
「頑張っている人より、何もしない人のほうが可愛がられる」
「欲しいものはいつも奪われた」
「お金がない、時間がない、才能がない」
「この人みたいになりたいと思っても、どれだけ頑張ってもなれない」
「今度こそと思ってチャレンジしても、また挫折する」
書いているうちに涙が止まらなくなった、と彼女は言いました。
これは嫉妬の話じゃない。もっと奥深くにあるものが出てきている。
彼女のノートには、こんな問いが書かれていました。
「なぜ、人は『ある』のに『ない』と思うんだろう?」
■ 嫉妬の正体は「欠乏感」だった
彼女は自分で気づいたのです。嫉妬の正体は「欠乏感」だということに。
「足りない」「持っていない」「奪われた」——この感覚が、嫉妬を生み出していた。
でも、彼女は実際に「持っていない」わけではなかったのです。経験も、スキルも、人とのつながりも、ちゃんとある。なのに、心のどこかで「ない」と感じている。その「ない」を埋めようとして、誰かと自分を比べ、足りない部分を見つけ、また「ない」を確認する。
この繰り返しが、彼女を苦しめていたのです。
■ 「埋める」という落とし穴
ここで少し、「欠乏感」というものの構造について考えてみましょう。
人は「ない」と感じると、それを「埋めよう」とします。
お金がないなら稼ごう、
愛されていないなら愛されるように頑張ろう、
認められていないなら認められる結果を出そう。
それ自体は悪いことではありません。向上心とも言えます。
でも、この「埋める」という行為には、落とし穴があります。
「埋める」ためには、外から何かを「得る」必要がある。得られなければ「奪う」ことになる。あるいは、得たものを「失う」ことが怖くなる。
「ない」→「埋めたい」→「得たい・奪いたい」→「失いたくない」→「怖い」
この恐怖が、次の「ない」を生み出すのです。
彼女はノートにこう書いていました。
「欠乏感が、悪魔の大元なのかもしれない」
大げさに聞こえるかもしれません。でも、考えてみてください。嫉妬も、怒りも、争いも、戦争さえも、その根っこには「自分には足りない」「相手が持っているものを奪わなければ」という感覚があるのではないでしょうか。
■ 「埋める」から「生み出す」へ
では、私たちはこの「欠乏感」から永遠に逃れられないのでしょうか?
彼女のノートの後半には、こんな言葉がありました。
「ない→埋める・奪う」ではなく、
「ない→持っているものを磨く、工夫する」という道がある
これは大きな発見です。
「ない」という感覚は、必ずしも「外から持ってこなければならない」というサインではない。「今あるものを、違う角度から見てみなさい」「工夫してみなさい」というサインかもしれない。
もっと言えば、「ない」からこそ、新しいものが生まれることもある。
不便だから発明が生まれる。満たされていないから創作が生まれる。空白があるから、そこに何かを描ける。
「埋める」のではなく、「生み出す」。
■ 感情は敵じゃない
彼女は最後に、こう書いていました。
「『ある』ことに感謝できるようになったら、問題やトラブルが『チャレンジ』に見えてきた」
嫉妬という厄介な感情を入口にして、彼女は自分の心の奥底にあった「欠乏感」の構造を見抜きました。そして、その構造がわかったとたん、心がふっと軽くなったのです。
嫉妬が完全に消えたわけではないかもしれません。でも、「嫉妬している自分はダメだ」と責める必要はなくなりました。嫉妬を感じたら、「あ、また『ない』と思ってるな」と気づけばいい。そして、「本当にないのかな? 今持っているものは何だろう?」と問いかけてみればいい。
感情は、敵ではありません。私たちに何かを教えようとしている、メッセンジャーです。
嫉妬が来たら、追い払おうとせずに、「何を教えに来てくれたの?」と聞いてみてください。思いがけない答えが返ってくるかもしれません。
#嫉妬 #欠乏感 #感情の扱い方 #感情と向き合う #心が軽くなる





