記事の詳細

世の中には、
「頭がいいのに、なぜか生きづらそうな人」がいます。 

勉強はできた。
テストの点もよかった。
知識もあり、論理的。 

けれど、
融通がきかない。
興味のないことは、まったく覚えられない。
優先順位がつけられない。
一般常識にうとい。
感情にフタをしている。
仕事になると、なぜか結果が出ない。
ひとつのことに集中すると、周りが見えなくない。 

本人は真面目で、一生懸命です。
「ちゃんとしている」のに、
なぜか空気を読めず、流れを外し、
人との関係でつまずきやすいのです。 

 

一方で、こんな人もいます。 

学歴はない。
テストも苦手。
理論もあいまいで、説明も得意ではない。 

それでも、
機転がきく。
雑学が得意。
話術がある。
ホストのように人の心をつかむ。
場の空気を読む。
人を動かす。
仕事ができ、ビジネスで成功している。 

彼らは、動物的本能を使っています。
考える前に感じ、危険を察知し、
チャンスに反応します。 

だから、サバイバルに強いのです。 

 

この違いは、「頭の良さ」そのものではありません。 

決定的な差は、感情を使っているかどうかです。 

頭がいいけど頭が悪い人は、
感情を切り離して生きてきた人が多いです。 

感じるより、考える。
空気より、正解。
人より、理屈。 

その結果、
相手が何を求めているのかが見えません。
今、何を優先すべきかがわかりません。
「正しいのに、うまくいかない」場所で立ち尽くします。 

 

頭が悪いけど頭がいい人は違います。
人の表情を見ます。
声のトーンを聞きます。
場の流れを感じます。
自分の感覚を信じています。 

情報処理をしているのは、
脳だけではありません。
身体と感情を含めた「全体」です。 

仕事も、ビジネスも、人間関係も、
最後にものを言うのは、
どれだけ考えたかではなく、
どれだけ感じ取れたかです。 

本当の意味で頭がいい人とは、
IQが高い人ではありません。 

感情を使い、本能を働かせ、世界を読む人です。 

もし今、
「頭は悪くないはずなのに、なぜかうまくいかない」
そう感じているなら、

足りないのは、知識でも努力でもありません。 

封じてきた感情を、
もう一度、取り戻すタイミングなのかもしれません。 

 

ここまで読んで、
「じゃあ、勉強ができる子はダメなの?」
そう思った方もいるかもしれません。 

そうではありません。
ただ、勉強ができる子ほど危ないことがある、という話です。 

勉強ができる子は、
すごいと言われたい、
親や先生の期待に応えようと、
「正解」を出すのが得意です。 

その分、
不安も、怒りも、違和感も、
感じる前に「考えて処理」してしまいます。 

すると、感情や本能が育たないまま、
頭だけが先に成長します。 

小さい頃は「いい子」です。
けれど大人になると、優先順位がつけられない。
人間関係で疲れ切る。
仕事がうまく回らない。
生きること自体が、やたらとしんどくなります。 

これは、弱いからではありません。
感情と本能を使う練習を、してこなかっただけです。 

だから、子育てで本当に大事なのは、
「賢くすること」ではありません。 

・今、何を感じているのか
・好きか、嫌いか
・怖いか、やってみたいか
・体がどう反応しているか 

それを、
言葉にしていい。
間違っていい。
失敗していい。 

考える前に、感じていい。
空気を読む前に、自分を感じていい。 

子育てで大事なのは、
机に向かわせることだけではありません。 

もまれること。
友達と遊ぶこと。
ケンカすること。
仲直りすること。 

悔しい、悲しい、腹が立つ、うれしい、
その気持ちを言葉で表現すること。 

そして、
ストレスから逃げさせすぎないこと。
ストレスをゼロにしないこと。
ストレスと向き合う経験を奪わないこと。 

親は、
すぐに手を出さない。
すぐに答えを出さない。
すぐに守りすぎない。 

転びそうになったら、
支える準備だけして、
本人に立たせる。 

泣いていたら、
理由を聞く前に、黙って待つ。 

親がやるのは、
管理ではなく、見守りです。 

 

こうして育った人は、
恋愛ができます。
人を好きになり、
近づき、傷つき、
それでも人を信じようとします。 

ビジネスで失敗しても、立ち上がれます。
失敗を「終わり」ではなく、
経験として引き受けられます。 

だから、チャレンジできます。
怖さがあっても、動けます。 

自分の感情を知っているから、
相手の感情も想像できます。
思いやりが育ちます。 

誰かに依存しすぎることもなく、
誰かを支配することもなく、
頼もしく、大胆に、
自分の人生を生きられます。 

 

子育ては、
成績表をつくることではありません。 

人生を生き抜く人を育てることです。 

そのために必要なのは、
詰め込みでも、管理でも、
不安からの先回りでもありません。 

感情を感じること。
本能を使うこと。
考えること。 

この三つがバランスよく育って、
はじめて
「本当に頭のいい人」になります。 

 

それが、
これからの時代に必要な力です。

関連記事

ページ上部へ戻る