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「わかってほしい」が恋をこじらせる理由

── 赤ちゃんごころと感情翻訳の力
恋愛中、ふと心の中でこんな言葉がよぎることはありませんか?
「私のこと、わかってるでしょ?」
それは、まるで小さな子どもが「ママは私のこと全部わかっているはず」と信じている感覚。
これが、私たちが大人になってからも恋愛で繰り返す、すれ違いの“出発点”です。
すれ違いは「言葉の定義のズレ」から
彼と彼女、お互いが同じ言葉を使っていても、その言葉の定義や意味が微妙に違うことがあります。
彼女が言う「大事にしてほしい」は、「いつも私を優先して」という意味かもしれない。
でも彼にとっては「記念日を祝う」とか「たまには会う」ぐらいのことかもしれない。
同じ単語でも、頭の中で思い描いている世界は全く別物。
このズレが積み重なって、やがて「わかってくれない!」に変わります。
期待という名のファンタジー
恋愛初期は、相手に期待を重ねます。
- 「こうしてくれるはず」
- 「きっとこういう人だ」
でも、それは事実ではなく、自分が描いたファンタジー。
その期待通りにならないと、「愛してないんだ」と感じてしまうのです。
さらに、少しでも嫌な気持ちになると、「あなたが私をイヤな気持ちにさせた」と、人のせいにしてしまう。
「わかってほしい気持ち」を、自分がわかってない
実は、わかってほしいその気持ちを、自分でちゃんとわかっていないことが多いのです。つまり、まだ言語化できていない。
怒りが湧くのは、だいたいこの3つのとき。
- 嫌な気持ちにさせられたと感じたとき
- 愛が減ったように感じたとき
- 欲しいものがもらえなかったとき
このときに相手を責めても、感情は解決しません。
むしろお互いがもともと持っていた“お母さんとの間でできた心の傷”を刺激しあい、苦しさが増していきます。
感情翻訳の4ステップ
じゃあ、どうやってすれ違いを減らすのか?
答えは、感情を翻訳する力を育てることです。
- 感情を感じて味わう(イヤだけど、苦しいけど)
感じ切ると、感情は少しずつ溶けていきます。 - その気持ちや感情に名前をつける
怒り?寂しさ?不安?羨ましさ? - なんて言いたかったかを言語化する
例:「もっとそばにいてほしかった」「安心したかった」 - それを自分でわかってあげる
「そっか、私はただ安心したかったんだね」と
自分をわかってあげると、相手の奥もわかる
この4つを繰り返すと、自分の中に「わかってくれる存在」が生まれます。
すると、相手の言葉の奥の“本当の思い”も感じ取れるようになり、表面的な言葉に振り回されなくなります。
彼女の「もう別れる!」が、実は「よくも私にストレスを与えたな!仕返ししてやる!」という感情の爆発で、本当に別れたいわけではないかもしれない。
彼の「元カノは、こうだったよ」という言葉も、実は「もっと俺を好きになってほしい」という愛の確認だったり、やきもちを引き出して愛情を確かめたい心理だったりするかもしれません。
赤ちゃんごころの“かけひき”が見えてくる
感情を翻訳できるようになると、恋愛に隠れているお子ちゃまのような“かけひき”が見えてきます。
- 「愛してほしい」と言えない代わりに怒る
- 「寂しい」と言えない代わりに試す
- 「安心したい」と言えない代わりに距離を置く
これが見えると、コミュニケーションは驚くほどスムーズになります。
恋愛を長く続けるために必要なこと
恋を長く続けるために必要なのは、運命の出会いでも、完璧な相性でもありません。
自分の感情を言葉にして渡せる力。
相手の感情を受け取って翻訳できる力。
これさえあれば、衝突は成長に変わり、関係は深まっていきます。
最後に
自分の気持ちや感情を言葉にする力は、日々の練習で育ちます。
「この気持ち、なんて名前だろう?」
「私は本当は何を望んでいたんだろう?」
そうやって自分を理解する時間を持つほど、相手の言葉の奥にある“本当の思い”が見えてきます。
感情を翻訳できる人は、恋も人生も、静かに変えていくのです。