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16年間、3000万円以上を”学び”に投資した50代「職人気質」の個人経営者が気づいた「学んでも動けない本当の理由」

はじめに
昔々、あるところに、
16年間で累計3000万円以上をビジネス講座に投資してきた人がいる。
その人は、いわゆる「職人気質」の専門家だった。
自分の技術には自信がある。クライアントからの評価も高い。
でも、経営やマーケティングとなると、途端に自信がなくなる。
「このままじゃいけない」
「ビジネスを学ばなきゃ」
「今度こそ、この講座で変われるはず」
そう思って、何度も高額講座に申し込んできた。
30万円、50万円、100万円、250万円、300万円…。
でも、どれも活かせなかった。途中でフェードアウトしてしまう。
やる気が続かない。どう活かしていいかわからない。集客、売上に繋がらない。
そして残ったのは、罪悪感だけだった。
「また無駄にしてしまった」
「自分には向いていないのかもしれない」
「でも、このままじゃダメだ。次こそは……」
そしてまた、新しい講座の広告をクリックしてしまう。
この話を聞いて、「自分のことだ」と感じた人もいるかもしれない。
この記事では、その人が16年間の失敗を振り返り、
ようやく見えてきた「本当の原因」と「突破口」について書いていく。
同じような苦しみを抱えている人の、何かのヒントになれば幸いだ。
第1章 「学んでいる」のに成果が出ない人の共通点
学習への情熱は本物
その人の学習への姿勢は、決していい加減なものではなかった。
- 動画を何十時間も視聴する
- ノートにびっしりメモを取る
- 高額講座にも躊躇なく投資する
- 「今度こそ」という希望を持って申し込む
お金がない時期でさえ、「なんとかしなきゃ」という危機感から学び続けていた。
ある時期には、毎週届く音声教材をノートに全部書き写し、
5冊分にもなった。その根性は本物だった。
でも、なぜか結果につながらない
それだけ学んでいるのに、売上は上がらない。
- 講座の途中でフェードアウトしてしまう
- グループコンサルに申し込んではキャンセルする
- やる気が続かない
- どう活かしていいかわからない
- コミュニティに馴染めない
- 「自分には向いていない」と感じる
高額講座を買っては、途中で離脱する。
また新しい講座を買う。また離脱する。
このパターンを16年間、繰り返してきた。
「努力が足りない」わけではない
これは「やる気がない」からだろうか?「能力がない」からだろうか?
違う。
16年間学び続ける情熱がある。
ノート5冊分を書き写す実行力がある。
3000万円以上を投資する本気度がある。
努力が足りないわけではない。
実は、もっと深い構造的な原因があった。
第2章 職人気質の人が陥りやすい「5つの罠」
その人の16年間を振り返ると、5つのパターンが見えてきた。
罠①:救世主探し症候群
「これを買えば、今度こそ変われる」
その期待を持って、何度も講座に投資してきた。
でも冷静に振り返ると、求めていたのは「このメソッド」ではなく
「この人が稼がせてくれる」という期待だった。
新しい講座を買う=行動した気になれる。購入ボタンを押した瞬間が、一番やる気に満ちている。
でも、救世主は永遠に現れない。答えは「外」ではなく「自分の中」にしかない。
罠②:コミュニティ・アレルギー
グループコンサルやFacebookグループに「入っていけない」「敷居が高い」と感じる。
ある講座では、「かわいい綺麗な30代から40代の女性ばかりで、なかなか入っていけない」と感じた。
別の講座では、毎月の勉強会に申し込んでは、直前にキャンセルしていた。
他者との比較が始まると、どんどん自己否定が強まる。「場違い感」が耐えられない。
結果、コンテンツは良くても、コミュニティに馴染めずフェードアウトしていった。
罠③:完璧主義による行動麻痺
「完全に理解してから実行しよう」
この思考パターンが、行動を止めていた。
ある講座では、「コンサルの準備はここまでしてから申し込んでください」という案内を見て、どこから手をつけていいかわからなくなった。
別の講座では、「教えてくれる内容が、なかなか自分のビジネスに当てはめられない」と感じて離脱した。
また別の講座では、2日に1回の課題提出が負担になり、退会した。
70点で実行することができない。100点じゃないと出せない。
だから、いつまでも「準備中」のまま時間だけが過ぎていく。
罠④:感情的離脱パターン
講師やコミュニティへの感情的な違和感で、フェードアウトすることも多かった。
ある講座では、講師の先生が「お金の亡者」に見えて、離れた。
あるビジネス講座では、20代前半講師のコーチング的な自己満足話が長くて嫌になった。
あるコンサルでは、「こういうことは女性や年配の人がよくやることなんですよね」と言われ、
「否定された」と受け取り、それ以降進められなくなった。
何気ない一言が刺さる。価値観の不一致を感じる。
「この人とは合わない」と結論づける。
そして、また新しい講座や先生を探し始める。
罠⑤:「学習=行動」という錯覚
学んでいる間は「まだ失敗していない」。
この心理が、学習を止められない原因だった。
- 講座を買う=行動している(と感じる)
- 動画を見る=成長している(と感じる)
- グループコンサルへの参加を検討する=やる気がある(と感じる)
でも実際には、「実践」はしていない。
実践しない限り、「本気を出せば自分もできる」という可能性が守られる。
失敗して傷つくリスクを避けられる。
「学習」という名の「実践からの逃避」。
16年間、それを続けてきた。
第3章 なぜ「できる経営者になろう」とすると失敗するのか
アイデンティティの分裂という根本問題
その人の中には、2つの人格が葛藤していた。
【職人モード】の価値観:
- 自分の手で、丁寧に、完璧に作り上げる
- お客様一人ひとりと深く向き合う
- 時間をかけて、納得いくまで磨く
- 質・深さ・誠実さを大切にする
【経営者モード】の価値観:
- 仕組み化・自動化・外注化
- 広告・集客・セールス
- 数字・効率・スケール
- 量・速さ・収益性を重視する
ビジネス講座で学ぶ内容は、ほぼすべて「経営者モード」の思考だった。
でも本質が「職人モード」の人は、学んだ瞬間に無意識が叫ぶ。
「これは私じゃない」
「こんなやり方は誠実じゃない」
「お客様を数字で見るなんて……」
「自動化したら、私の価値がなくなる」
学習内容と自己イメージが一致しない。
だから、実践しようとすると「自分を裏切る感覚」になる。
続かないのは当然だった。
「魔法の杖」を求めて「居心地の悪い場所」へ行っている
その人は、自分の職人気質を「ダメなもの」だと思っていた。
だから、真逆のギラギラした世界に答えがあると思い込んでいた。
キラキラした若い成功者たち。数字至上主義の厳しい環境。
「月商7桁!」「3000万円達成!」という世界。
でも、価値観が合わない場所で頑張り続けることはできない。
心理的ブロックが発動して、結局フェードアウトする。
それは「自分に合わない靴」を大金で買い続けているようなものだった。
第4章 承認欲求という見えない敵
講座に求めていたのは「ノウハウ」ではなく「承認」
振り返ってみると、講座に求めていたのはビジネスノウハウだけではなかった。
「私の年齢でも大丈夫」
「私のやり方でも成功できる」
「私は間違っていない」
そういう「承認」を、無意識に求めていた。
でも、講座は「あなたを承認する場」ではなく「あなたを変える場」。
だから必ず「違和感」が生まれ、離脱することになる。
承認欲求と自己否定のループ
「この講座を買えば変われる!」と期待して購入
- グループコンサルで他の生徒を見て劣等感を感じる
- 講師の何気ない言葉を「否定された」と受け取る
- 「この講座は私に合わない」と離脱(自己防衛)
- 「今度こそ理解してくれる講座があるはず」と新しい講座を探す
- そして、1に戻る
このループを、何年も、何十年も繰り返していた。
第5章 唯一成功した方法から見えた「真実」
16年間で「唯一活かせた」学びがあった
たくさんの講座を買ってきた中で、唯一、実際にビジネスに活かせた学びがあった。
それは、比較的安価な音声配信の教材だった。月額数千円程度のもの。
毎週届く音声を、ノートに全部書き写した。5冊分になった。
そして、そのノートをもとに、自分の講座を作った。
今でも、その教材の提供者には心から感謝している。
その方が商品をつくったら、迷わず購入する。
それほど、信頼している。
なぜそれだけが活かせたのか?
振り返ると、こういうサイクルが回っていた。
- インプット(学ぶ)
- 自分の言葉に翻訳(咀嚼する)
- アウトプット(実践する)
「経営者の言葉」を「職人の言葉」に変換したから、腹落ちした。
そして「講座を作る」という、職人として「教える」形で実践した。
アイデンティティを保ったまま実践できた、唯一の例だった。
高額だから成功するわけではない
高額講座だから成功するわけではない。有名講師だから正解なわけでもない。
「自分の言葉に翻訳できるかどうか」
それが分かれ目だった。
第6章 職人気質の人が成果を出すための3つの原則
この経験から見えてきた、職人気質の人が成果を出すための原則がある。
原則①:「職人のまま」でビジネスをする
「できる経営者にならなきゃ」という思い込みを捨てる。
ビジネスマインドとは、自分を殺して型に嵌めることではない。
「私の職人技を、求めている人に届けるための手段」
そうビジネスを捉え直す。
具体的には:
- 大量集客ではなく、少数の深い関係構築
- 自動化セールスではなく、丁寧な個別フォロー
- 仕組みは“人を大切にするための道具”
職人的価値を活かしたビジネスモデルを設計する。
自分を変えるのではなく、自分に合った方法を選ぶ。
原則②:「ソロ実践」を選ぶ
コミュニティが苦手なら、無理に参加しなくていい。
- 会員サイトのコンテンツだけ活用する
- グループチャットは退出かミュート
- 他の生徒の投稿は見ない
- 孤独に実践する
「みんなと仲良くならなきゃ」と思わない。他者と比較しない。
「場違い感」を感じたら無理しない。
一人で黙々とやる。
それは弱さではなく、職人の強みだ。
原則③:「70点」で実行する
完璧主義を捨てる。
- 理解度70%で実行開始
- 完成度70%で公開
- 成功率30%を目指す(100%ではない)
「完璧な1回」ではなく「不完全な10回」を目指す。
10回実践すれば、10個のデータが得られる。
10個のデータがあれば、パターンが見える。パターンが見えれば、改善点がわかる。
これが「継続」の正体だ。
第7章 今すぐできる具体的な行動
72時間ルール
学んだら72時間以内に、不完全でも実践する。
ステップ1:学習の制限
- 1回の学習時間は最大60分
- 1つの動画だけを見る(複数見ない)
ステップ2:即座に3行メモ
学んだ直後に、3行だけ書く。
- 今日学んだこと(1行)
- 自分のビジネスに当てはめると?(1行)
- 72時間以内にやる具体的アクション(1行)
ステップ3:カレンダーに記入
「水曜19時:〇〇を実行」のように、期限を明確にする。
ステップ4:完璧を目指さず実行
- 文章の推敲は1回だけ
- デザインは気にしない
- 反応は期待しない
「購入禁止期間」を設ける
1年間、新規のビジネス講座購入を禁止する。
- 今持っている教材だけで十分すぎる情報量がある
- 新しい情報を入れると、さらに混乱する
- 「実践」の時間を確保する
新しい広告をクリックしそうになったら、こう言い聞かせる。
「私はもう答えを持っている」
苦手な「仕組み構築」は外注する
その人は、プロモーション動画までは完成させていた。
でも、UTAGEやLINEの設定で止まっていた。
「中身(商品)」を作る能力は高い。でも「ツール設定」で挫折する。
それなら、ツール設定は外注すればいい。
250万円を新しい講座に払うなら、50万円で「設定代行」を雇う方がいい。
やるべきは「本業」であり、LINEの設定ではない。
第8章 「感情トリガー」を事前に把握する
離脱パターンを知っておく
その人が離脱する時には、いつも同じ感情が動いていた。
- 否定されたと感じる(年齢、やり方について)
- 「この人はお金のことしか考えていない」と感じる
- 若い人や綺麗な人への劣等感
- 「厳しすぎる」と感じる
対策:感情と事実を分ける
これらの感情が湧いてきたら、「あ、またこのパターンだ」と気づく。
すぐに退会を決めず、1週間の冷却期間を置く。
「講師の問題」ではなく「自分の感情パターン」だと認識する。
感情で判断せず、事実で判断する。
「この講座から得られるものは、まだあるか?」
「感情を抜きにして、コンテンツの価値はどうか?」
冷静に問いかけてみる。
第9章 見落としている「強み」
16年間学び続けた情熱
それだけ「変わりたい」「成長したい」と願い続けてきた。
これは紛れもない強みだ。
実行力はある
かつてノート5冊分を書き写した。その根性は本物だ。
一度はできている。能力がないわけではない。
高い専門性
その人は、ある講座で、先生やスタッフを逆にコンサルしたことがあった。
90分、無料で。とても喜ばれた。
「生徒」である前に、すでに「一級の専門家」なのだ。
問題の本質
問題は「実力不足」ではない。「実践していない」こと。
それだけだった。
おわりに 職人のままでいい
その人が16年間、本当に欲しかったものは何だったのか。
「売上」?
「成功」?
「承認」?
おそらく、こういうことだったのではないか。
「職人である自分を否定せずに、ビジネスを成り立たせる方法」
だとしたら、答えはすでに手の中にある。
かつて、音声教材をノート5冊に書き写し、自分の講座を作った時、それはできていた。
新しい講座を買う前に、こう自問してほしい。
「今持っている教材で、今日できることは何か?」
その答えを、今日、今から、実行する。
完璧じゃなくていい。70点でいい。
グループコンサルに参加しなくてもいい。
誰かに承認されなくてもいい。
自分が、自分のやり方で、一歩進めばいい。
経営者にならなくていい。
職人のままでいい。
職人の誇りを持ったまま、求めている人に届ける方法がある。
16年間、3000万円以上を投資して、ようやくそのことに気づけた。
その人は今、初めて「職人のまま」でビジネスを組み立て直している。
まだ道半ばだが、少なくとも新しい講座の広告をクリックすることはなくなった。
新しい講座を買う代わりに、すでに持っている教材を「自分の言葉」に翻訳し直している。
同じように苦しんでいる誰かの、何かのヒントになれば幸いだ。
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